リーディング企業情報

カネ定製陶 株式会社

http://www.kanesada-seito.com/


常務取締役の正村さん


多種多様な形の陶器が素焼きの状態で大量にストックされている


素焼きの陶器を青い釉薬に素手でくぐらせる

所在地 岐阜県土岐市
障がい者雇用数 5名
事業内容 和洋飲食器・高強度磁器製造販売
障がい者の
業務内容
  • ライン作業
  • 出荷準備

70点でも能力を100%発揮していることを評価する

義務を超えて雇うのは「育てた方が利益になる」から

 土岐市のカネ定製陶株式会社は明治2年創業以来、地域伝統の産業である陶器の生産を続けてきました。
 現在は時代に合わせ多品種小ロットの生産体制が整えられています。釉薬で彩色される前の多種多様な素焼きの陶器が大量にストックされているため、どんな注文にも素早く柔軟に対応できるほか、在庫を持つことで自社による価格決定ができることもカネ定製陶の強みの1つになっています。

 現在の従業員は50人以下なので平成29年度現在障がい者を雇用する義務はありませんが、5人の障がい者を正社員として雇用しています。しかし担当する正村常務によれば、助成金も支援制度も使っていないとのこと。「それより人を育てた方がよっぽど利益になる」と言う正村常務に話を聞きました。

休まず技術を磨けば障がい者も管理職になる

 障がい者を採用する時のポイントは?
 「製造業だからやっぱり休まず来てくれるのが重要です。」

 障がい者の仕事ぶりはどうですか?
 「得てして真面目な子が多いかな。健常者を超える事も無きにしもあらずですね。単純作業で簡単そうに見えるけど、やることは少しずつ変わるから意外と難しい。簡単そうに見えるって事は相当うまいということです。」
 「管理職をしている障がい者の課長もいます。今年で31年目。決まった仕事をやるうちに釉薬を塗るのがめちゃくちゃ上手になった。今では人に教える程です。健常者と比べても全然上手です。後輩の面倒も見るし話し相手にもなっています。」

 単純作業も休まず続ける事で高い技術に成長させる同社。次は、その秘密について紹介します。

段階的教育と多能工化が障がい者にも優しい環境を実現

 仕事を教える時に気をつけている事は?
 「その人の能力に合わせることがポイントだと思う。やったことのない事をやらないといけないわけですから『次のステップへ行こう』とか、『あっちを応援に行こうか』なんて言いながらいろんな仕事を覚えてもらいます。」

 同時に複数の仕事を教えていますか?
 「基本的にはひとつやれるようになってから次というかたちです。できることを徐々に増やしていくと他の誰かが休んだ時にも応援に行ってもらえる。単純作業でも同じ仕事は無いので、色々できると多品種少量小ロット生産にも対応できます。」

 これらは障がい者雇用だけでなく企業の基本方針。この段階的教育と多能工化が、障がい者が働きやすい環境を実現し、さらに企業の個性にも繋がっています。

「一生懸命」を褒めれば出来高も上がる

 そしてもうひとつ、障がい者を支えるカネ定製陶独自の評価軸があります。
 「障がい者の出来高だけを評価すると、周りが100個なのに自分だけ70個だと、本人は『私はできない』と思ってしまう。そうじゃなくて、70個でも能力の70%しかやってないのか100%発揮してるのかを評価してあげれば、一生懸命やってることが価値になる。」
 100個できる健常者の100個と、70個できる障がい者の70個を同等に認めることによって、こんな効果が生まれます。
 「みんなから頑張ってると評価され、褒められることによって70個が72個になったり、そういうのが大きいですよね。1日2個余分に作れるのが続けば、1週間で12個だから。」

 「人を育てる」という信念から生まれた社風と仕組みが、おのずと障がい者に最適な環境を生み出し、肩肘張らない自然な障がい者雇用を実現していました。
 次は社員の方の声をお届けします。

自信をもって働ける環境づくりが一番大切


卓球で強化選手にもなった加藤さん



手際よく商品を縛り出荷準備する

障がい者雇用の経験をもとにより良いスタイルを模索

 引き続き紹介するのは、土岐市にある陶器製造販売の老舗、カネ定製陶株式会社です。同社が障がい者雇用を始めた平成元年頃から、雇用を通じてさまざまな障がい者と関わる中で、独自のスタイルを模索してきました。仕事の現場には穏やかな空気が流れ、取材で声をかけても皆さんが笑顔で応じてくれます。

 今回は常務の正村さんのほか、現場で活躍する、加藤さんにも話を伺いました。
 加藤さんは特別支援学校の実習を経て入社し、現在は加工部から届く製品を棚に並べたり、ゴロと呼ばれる焼成容器に詰める作業を担っています。
 入社前に不安はなかったですか?
「入る前、少し不安はありました。障がいの無い人たちと一緒に仕事ができるのかなとか、迷惑かけないかなとか。でも入社してみると、まわりの人がすごくフォローしてくれるのでやりやすかったです。」

昨日よりも今日、成長の実感がやりがい

 いま、仕事のやりがいは何でしょう?
「昨日よりも今日、失敗が少なくなったりしたら、それが嬉しいと思います。」

 加藤さんは卓球の強化選手に選ばれたこともあるそうですが、卓球と仕事に似ている所はありますか?
「技がひとつできるようになるのは嬉しいですね。」

 努力することは得意ですか?
「成果が上がるとすごい嬉しいから、苦しいけど楽しいです。」

 これからの目標は何でしょう?
「ロスを作らないとか、失敗例をつくらないことです。」

 仕事について楽しそうに話す加藤さん。それを見ながら正村常務が「ロスや失敗と言ってますが、そんなに失敗もないんですよ。」とフォローします。
 障がい者の個性と能力が十分発揮されるように、周囲が温かく見守っている様子が伝わってきます。

障がい者自身の成長は本人と企業、両方の利益に

 一人ひとり違う障がい者への職場教育は、難しい部分もあるのではないですか?
 正村常務に聞きました。
「障がい者だからと言って、特別に何かに配慮する、ということはないですね。逆に無理をしたり特別な扱いをしない方が、会社に溶け込みやすいという部分もあると思います。
 お互いが合意して入社が決まりますが、ここで育つことができれば、本人にも会社にもメリットがあります。」

 具体的にはどんな教え方なのでしょうか?
「応援する気持ちがあっても、最初からやみくもに『がんばれ、がんばれ』では、本人が疲れてしまいます。慣れるまでには教え方にも気をつけるポイントがあると思います。
 まずは基本の、怪我をしないようにはどうしたら良いかからはじめ、徐々にこれ以上は割れてしまうとか、製品の扱い方を教えていきます。」

自信をもって働ける環境 それがミスの軽減にもつながる

 失敗やミスが起こったときはどう対処されているのでしょう?
「してはいけないことをすれば、もちろん注意します。でも失敗は、減らそうという意識さえできれば減っていきます。
 逆に、怖がって恐る恐る作業すると、萎縮してしまい失敗が増えてしまうこともあります。自信をもって働ける環境づくりが一番大切だと思いますね。」

 この先も障がい者雇用を積極的に進めていきたいという正村常務。
「うちの仕事には、人の手が必要な部分が多くあります。そんな場面で障がい者の方に多く活躍して欲しいですね。」

 特別な配慮をするわけではなく、本人が自信をつけるのを待ちながら、段階を踏んで教えていく。焦らずに本人のゆっくりとした成長を見守る姿勢が、自然と障がいを受け入れることができた秘訣のようです。

page top

リーディング企業情報一覧

2017年度

2016年度

2015年度

page top