リーディング企業情報

株式会社 打江精機

http://www.utsue.co.jp/

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所在地 岐阜県高山市
障がい者雇用数 16名
(身体:5名/知的:10名/聴覚:1名)
※2019年5月時点
事業内容 油圧機器用油圧バルブ、ポンプ、モーター部品の製造・販売
障がい者の
業務内容
  • 部品のバリ取り
  • 部品の組み立て

 歴史のある古い街並みを残す高山市の市街地のほど近く、飛騨の美しい山を臨む場所に株式会社打江精機の工場があります。同社には16 名の障がいのある社員が在籍しており様々な現場で活躍しています。

 50年ほど前から障がい者雇用を始めたという同社では、20年、30年と長く勤務している障がいのある方も珍しくありません。「障がい者雇用と言うと補助的な作業をイメージされることも多いのですが、うちでは『 彼らがいなければ仕事が回らない 』というほど頼りにしています」と岐阜県障がい者雇用アドバイザー※としても活躍する取締役の打江記代さんは語ります。

 障がいのある人もない人も、お互いが無理なく長く一緒に働く工夫をお聞きしました。

※ 岐阜県障がい者雇用アドバイザー … 障がい者雇用のノウハウを持つ企業の担当者が県内企業に対して障がい者雇用に関する助言・提案を行います。

地域で支え合う

先代の社長の熱い思いがきっかけ

 昭和45年、先代の社長が高山ライオンズクラブの活動の一環として地元の知的障がい者施設「山ゆり学園」を視察したことがありました。その際、施設を利用する一人ひとりの個性を生かす活動の様子に感銘を受けたことが、打江精機が障がいのある人とともに働くきっかけとなりました。

 当時は現在ほど障がい者雇用の制度も整っておらず、障がいのある人が地域で暮らし、働くことは珍しい時代でした。打江精機も知的障がい者を雇用するのが初めてで、社内からは心配する声も上がったそうです。

 現在の社長の打江信夫さんはこう語ります。
 「反対されても私の父である当時の社長の意思は固く、最初に採用した障がいのある社員を自宅に住みこませ、公私にわたりサポートしました。
 私も小さいころ、一緒に銭湯に通ったことを覚えています。実は、その社員は今も当社で働いてくれているんですよ。」

 このお話しから、初めて障がいのある人を雇用して社員として共に働こうとする際には、企業のトップが強い意志を示すことがはじめの一歩への近道となることもあるようです。

ステップアップできる環境づくり

難しい作業にもチャレンジ!少しずつ覚えて自信につなげる

 「部品の溝を磨き、バリを取ってなめらかに加工する仕事をしています。少しでもバリが残っていると油の中で引っかかって、機械がなめらかに動かなくなってしまうんです。」
こう説明してくれたのが、先述した先代の社長の家に住み込んでいたこともあるという牛丸利光さんです。勤続年数はなんと50 年ほどで、同社の中でも大ベテランです。この日は部品をグラインダーで研磨する作業を担当していました。ご本人も「気を付けていないと部品を落としてしまい、難しい」と言う通り、決して単純ではない作業です。しかし、はたから見ると知的障がいがあるとは分からないほど、堂々と製品を仕上げていきます。

 この作業以外にも複数の業務を担当しており「色々な仕事を覚えられて楽しい。新しい仕事で分からないことは、主任や周りの人に聞くとやって見せてくれます」と話していただきました。今では、障がいのない新入社員に仕事を教えることもあるそうです。

 別の部署で働く福田一功さんは、今年で入社四年目の若い社員です。特別支援学校時代に同社での実習を経験しています。機械オペレーターの仕事を見て「かっこいい」と憧れたことが入社の決め手と教えてくれました。

 「仕上げなければいけない製品の量が多くて忙しい時は大変です。間に合わないときは残業をしたり、まわりの人に助けてもらいます。」

 手際よく部品を組み立て、次の工程へ渡せるよう整える福田さん。以前に担当していた作業を習熟したのち、ステップアップして少し難易度の高い工程を担当するようになりました。さらに、現在では経験したことのある仕事をベトナム人の実習生に伝えたり、自動車運転免許の取得にも挑戦しています。「打江精機のいいところは、一人ひとりの社員を見て仕事を任せてくれるところ。障がい者だからこれはダメ、と言われたことはありません。」

得意なこと、苦手なことは誰にでもある

障がい者を知ることを大切に。苦手は皆でカバーできる。

 知的障がい者の雇用というと、単純作業でなければいけないのではないか、任せられる仕事があるだろうか、と悩んでしまう企業も多いのではないでしょうか。しかし、打江精機では障がいのある人も能力を発揮し、他の社員と比べてもほとんど遜色なく仕事を進めています。

 打江記代取締役は、採用にあたっては特に特別支援学校の先生が頼りになると話します。
 「企業の方の多くは、障がいのある方のことをよく知らないのではないでしょうか。知らないから仕事はできないと考えてしまうのだと感じます。まずは実際に働いているところや特別支援学校を見学に行かれることをお勧めします。
 学校の先生方は生徒の能力や適性を見極めて、会社に合いそうな方を紹介してくれます。いきなり就職するのではなく、学生のうちに実習に来てくれるので、会社としても何に気を付ければ一緒に働けるかを早い段階から考えることができます。」

 「ある社員は自分から同じ部署の人に『国語や算数が苦手だけど、小学校4年生くらいまでの内容なら分かる』と伝えました。周囲の人もそれならと、難しい漢字を読んだり、複雑な計算をしなくてもよい工程を担当してもらうことになりました。自分の苦手なことを受け入れ、できないことは相談して助けてもらう。学校でそう教えられてきているんですね。障がいがあってもなくても、得意なことも苦手なこともありますよね。誰かの苦手を他の人が補うことは当然のことだと思っています。」

障がい者の育成を現場だけに任せない

障がい者=特別ではない、従業員みんなで支え合う

 「以前、障がいのある社員が退職することになった時、その人しか使い方が分からない機械があり、現場の人がやり方を見て覚えたことがあります。他の社員から『すごい人やったなあ』と惜しまれているほどでした。」
打江取締役がこう語るほど、同社では障がいのある社員も欠かせない戦力となっています。ハンディキャップがある人も同じチームの一員となるために、どんな工夫をしているのでしょうか。

 「現場に障がいのある社員の育成の全てを任せきってはいけません。障がい者を受け入れる部署には、うまくいかないときや困った時には『総務部に何でも言って』と伝えています。」
現場だけで抱え込まず、いざという時に頼れる部署を会社の中に作っておくことがポイントとなるようです。総務部内でも何人もの社員が障がいのある人を陰になり日向になり支えています。

 「トップや役職者が障がいのある人もない人も等しく尊重することも大切です。」
昭和の不景気の時、業績が厳しくなり社員の希望退職を募らざるを得ない状況になったことがあります。その際には社員から障がい者雇用の見直しを検討してはという声も上がりました。しかし当時の社長は『うちは障がいがあるという理由で辞めてもらう会社ではない』と厳しくいさめたのです。
「障がい者に対して必要な配慮はするけれど、特別な人とは思わない。そう考える文化が先代から受け継がれています。」
同社では部署の飲み会に障がいのある人も誘われて参加することは普通のことで、社内でも違和感なく働いています。
こうして打江精機が積み重ねてきた障がい者雇用のノウハウは、現在では外国人の従業員の育成にも生かされています。
仕事の進め方やコミュニケーションの方法に違いのある人とも一緒に働くために、絵や図を用いて説明したり、能力に凸凹があっても等しく仲間であるという意識が徹底されているために、多くの外国からの従業員もスムーズに職場に溶け込める環境となっています。

安定して働き続けられるように

外部の支援機関と連携し、社員の生活もできる範囲で支える

 打江精機には社員寮が整備されており、現在は6名の障がい者がそれぞれの個室で暮らしています。寮では朝・夕の食事が提供されます。

 働く人の生活も支えることは、先代の社長が従業員を自宅に住みこませていた時代から行われてきたことで「当たり前だと思っていた」といいます。しかし、これから障がい者雇用を始めようという会社にとってはハードルの高いことではないでしょうか。

 そんな時に頼りになるのが各地の「障害者就業・生活支援センター(通称:ナカポツ)」です。障がいのある人の就業面と生活面の一体的な相談や支援をおこなっています。「当社でも、聴覚障がいのある社員が調子を崩してしまったことがありました。周りが想像していたよりも聞こえないために情報が受け取れずストレスを感じることも多いようで、私たちだけでは対応できないと考え、ご家族とも話して今後の相談先としてナカポツに登録されることをおすすめしました。」

 同社では常にナカポツの職員と連絡を取り合い、必要に応じて訪問してもらうことで安定して生活し続けられるようサポートしています。社外の支援機関とも協力することが、障がいのある社員の活躍ぶりや勤続年数の長さにつながっていると言えそうです。

障がい者雇用成功のポイント

1.適性を見極め見守る
「障がい者だから」とひとくくりにせず、特別支援学校や支援機関からの実習の機会を活かし一人ひとりの能力・適正に合った仕事を任せ、焦らず見守っていく。
2.現場任せにしない
障がい者の受け入れを現場だけに任せず、社内にいつでも相談できる部署や人を置く。
3.多角的なサポート
障害者就業・生活支援センターと連携して社員の生活も含めてサポートできる体制を整える。
4.同じ目線を持つ
障がいのある人もない人も会社の戦力になることで「同じ仲間」として支え合っている。

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