リーディング企業情報

中部アグリ株式会社 Vファーム海津(バローグループ)

http://valorholdings.co.jp/group/


Vファーム海津


左 Vファーム海津 武馬所長、右 森田さん


作業に集中する森田さん

所在地 岐阜県海津市
障がい者雇用数 2名(精神障がい者:2名)
事業内容 ミニトマト・きのこ類の栽培及び販売業
障がい者の
業務内容
農作業(ミニトマトの生産)

「スーパーマーケットバロー」と聞けば、私たちの暮らしを支える身近な存在として親しみを覚えるのではないでしょうか。株式会社バローホールディングスは岐阜県が誇る代表的な企業の一つです。障がい者雇用にも積極的に取り組まれており、「岐阜県障がい者雇用アドバイザー在籍企業」としても活躍されています。
今回は、スーパーバローに卸すミニトマト栽培事業を担っているグループ企業「中部アグリ株式会社 Vファーム海津」へ伺いました。お話しくださった方は、まもなく還暦を迎えられる森田 仁さんと、所長の武馬弘和さんです。働きながら「人生何度でもチャレンジできる」ことを体現されている森田さん、「まったくゼロからの経験」によって現在の場を創られた武馬所長、仕事に向き合うお二人の姿勢が印象深く、勇気づけられるインタビューとなりました。

人生は何歳からでも、何度でも、チャレンジできる。

「農業は初めての経験でしたが、1から一生懸命、仕事を覚えました。」

森田さんと、武馬所長との出会いについて教えてください。
武馬所長:
この事業を始めてまだ5年なものですから、一般採用をかけつつ、障がいのある方でもできる仕事を検討していました。当時の私の上司が「支援機関をあたってみよう」と言って、最初につながったのが社会福祉法人 楽山・杜の会(海津市)の支援者の方でした。楽山さんからのご紹介で「ここで仕事をしてみたい」と言って来られた方が、森田さんでした。

森田さんはこの仕事を続けられて何年目になるのですか?
森田さん:
実習も含めて3年6ヶ月ぐらいです。一般就労も色々経験しましたが、トラブルなんかもあって続けるのが難しかったですね。

どのようなプロセスを経て雇用につながったのでしょうか。
武馬所長:
最初は、施設外就労で週に1回3時間程度の仕事を3ヶ月間続けていただきました。その後、半年間は8時~12時まで、さらにもう半年間8時~14時までの勤務とだんだん時間を伸ばして、約1年間の実習をしていただきました。2017年の7月から週5日7時間勤務の正式雇用となりました。

はじめの1年間、森田さんの印象はいかがでしたか?
武馬所長:
森田さんは、いい意味でよく喋りますね。バローの副店長時代、障がいのある方は別の部門にいらっしゃいましたが、直接一緒に働くのは今回が初めてです。自分のイメージとは少し違っていましたね。

森田さんは、農業のご経験はあったのですか。
森田さん:
今までしてきた仕事と全然違います。農業は初めての経験でしたが、1から一生懸命、仕事を覚えました。遅いですけれど、できるだけ早くしようと心掛けて、だんだんできるようになってきました。農業は自分に合っていました。自然と触れているのが一番いいですね。

主にどのような業務を担当されていますか。
森田さん:
下葉かき、誘引、摘芯、収穫と、一般雇用の方や海外からの研修生と同じ業務をやります。研修生さんとは片言で会話をしています。皆さんと働くのは楽しいです。自分たちが作っているトマトを食べて、これは美味しいと感じました。トマトを育てることに、やりがいを感じています。
武馬所長:
僕はトマトが苦手で食べられないんですけどね(笑)。業務はまず「下葉かき」からスタートします。トマトは朝顔のように巻きつかないので成長すると倒れてしまいます。そうならないよう、トマトを支えて伸ばしていくのが「誘引」です。誘引の際に苗の先端を折ってしまうと、そこから育たなくなってしまうので、いきなり任せるのは難しい。「収穫」もトマトの“色の判断”が難しいんですよ。基本的な作業をしながら、収穫に適したトマトの色に慣れてもらうようにしています。
森田さん:
太陽の光によってトマトが真っ赤に光ったり、チョコレートのような色になったり、収穫すると色が変わるんですよ!赤くなったトマトを収穫するのがいちばん大変ですね。
武馬所長:
同じ赤でも晴れ・曇り・雨でトマトの色の見え方が変わります。曇りは暗くて意外と見えやすく、晴れていると太陽の光が直接当たるので、赤くなる一歩手前だったりすると見分けに苦労しますね。
森田さん:
収穫だけでも慣れるまでに2年ぐらいかかりました。
武馬所長:
収穫はどんな方でも最低1年はかかります。春夏秋冬、光が違いますから。たとえば冬のイメージで収穫していると、春になればまた見え方が変わります。森田さんにも「どんな方でも最低1年はかかるよ」と伝えていました。
森田さん:
春が忙しくて、収穫の多い時は選果の作業も大変です。
武馬所長:
ここでは約12万本のトマトを栽培しています。トマトの生育に適しているのは春。勝手にこれだけの本数が伸びていきますから、収穫は冬から春にかけてだんだん忙しくなります。収穫したトマトは、東海エリアのほとんどのバローに供給しています。海津ではトマトを作っていますが、三重の尾鷲ではエリンギ、岐阜の郡上と下呂にはブナシメジの工場があります。長野の木島平ではエノキ茸を作っています。

「朝早く起きて、早く寝て、働くことができて。今は安定しています。」

森田さんの障がいについて、また普段の過ごし方について教えてください。
森田さん:
統合失調症です。障がい者手帳を取ったのは20代の頃。1ヶ月に1回通院していて、体調は安定しています。

手帳を取られた頃は、どのように過ごしていらっしゃったのですか。
森田さん:
革製品の仕事をしていました。その後も機械の仕事や木工の仕事、一般就労をいくつか経験してきました。楽山の支援を受けたのが3~4年前。就労支援事業所の中で働いて、その後Vファームで実習を経験し、今につながっています。

長く仕事を続けられている秘訣はありますか?
森田さん:
朝起きて、お弁当を作らなきゃいけないな、今日はどんな弁当にしようかなというのが楽しみ。仕事が終わったあとの楽しみも、夕飯のおかずやね。自分で料理します。親が亡くなって一人になってから料理を覚えました。煮物なんかもします。休みの日はゆっくり家で休んでいます。水曜日が公休なので、その時に楽山さんにも行きますね。以前の担当職員に話を聞いてもらったり相談できる人がいるから安心です。
武馬所長:
森田さんいちばん早く来るんですよね。僕らは始業30分前の6時50分~7時頃にハウスの鍵を開けに来ますが、もう森田さんは出勤してます!
森田さん:
朝早く起きて早く寝て、働くことができて、ご飯を食べて。今は症状も安定しています。

「誰でも心に傷がある。それを少しずつでも消していけたら。」

雇用者側として、森田さんとの3年半を振り返ってみていかがでしょうか。
武馬所長:
心配したといえば、仕事を覚えるまでの期間ぐらいですかね。会社の中にも、話せる相手が何名かみえたことは大きかったかもしれません。業務自体はどんな方でも3日~4日でできる仕事ではないですし、長い目で見て任せていけるかどうかを判断するものですから。どちらかというと、周りの方とグループになって仕事をしますから、その中でやっていけるかどうかを重視していました。
森田さん:
お昼は武馬さんやみんなと一緒に食べています。
武馬所長:
最初は楽山の指導員さんと一緒にお昼を食べていて、そこから一人ずつ社員ともつながっていった感じです。森田さんは一生懸命仕事をやっていますので、周りからも声が掛かりますよね。ご本人が少しずつでも自分から話せるようになれば、自然と会話できるようになっていきます。

森田さんの業務が、今後さらに広がる可能性はありますか?
武馬所長:
今後新しいハウスができれば、また栽培方法や仕事の仕方が違ってきます。現在のハウスでの仕事を任せられるようになれば、次のハウスの業務が増える可能性はありますね。
森田さん:
新しいこともやってみたい。社員さんと同じことをやってみたいですね。
武馬所長:
森田さんは欠かせない戦力ですし、もちろん期待もあります。どんな方にも、何かしらの得意・不得意はありますよね。得意な部分は、障がいがあったとしても他の社員と大きくは変わりません。仕事を続けられるポイントは、その得意な部分や楽しんで続けられる仕事を見つけられるかどうか。その方と一緒に働く環境を、いかに作れるかどうかですね。

経験のない仕事への転職や、働くことそのものに勇気がいる方もまだまだ多くいらっしゃいます。森田さんと同じ障がいのある方へ、お伝えしたいことはありますか。
森田さん:
心を落ち着けて過ごせるといいですね。自分は、気持ちが落ちこんだところから何度も這い上がってきました。誰でも心に傷がある。それを少しずつでも消していけたら、きっとできると思います。

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