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生活協同組合 コープぎふ

https://www.coop-gifu.jp/

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所在地 岐阜県各務原市
障がい者雇用数 30名
事業内容 共同購入事業・店舗事業など
障がい者の
業務内容
  • 集荷場
  • 品出し

「交流会」が生む 障がい者だけじゃない現場のつながり

トップが示した組織の姿で30人の障がい者を雇用

 コープぎふは、県内3つの生協の合併を経て、現在は従業員約1200人、15の事業所が地域の生活を支えています。障がい者の方を各事業所に1人以上雇用することとし、現在30人雇用しています。
 今回は、人事部の近藤部長、塚原さん、佐橋さんに、組織としての障がい者雇用への取り組みと、独自の「職員交流会」についてお話を伺いました。

 障がい者雇用のきっかけは?
 「合併前の97年、市民生協時代の長良店が始まりです。一時は、法定雇用率を維持できない時期もありましたが、09年、生協の社会的役割として、〈笑顔あふれる協同のくらし〉という理念に基づき、各事業所で一人は障がい者を雇用することをトップが決め、人事の役員も一緒に特別支援学校を訪問しました。トップが組織としてどうするのか示したのが、30人という数字につながったと思います。」

仕事で困っていることは交流会でアドバイスもらう

 他の職員の反応はどうでしたか?
 「職場実習をすると、定時職員さんから『力仕事が助かる。ぜひ採用して』という声が上がりました。定時職員さんには年配の女性が多く、特別支援学校の卒業生は、お子さんと歳が近いので、あたたかい目で見てもらえたのも良かったです。採用しても、実際に仕事を教えるのは現場の職員ですからね。」

 障がい者雇用には良い環境ですね
 「でも、仕事の中で困ることも出てきました。障がいによる問題への基本的な対処を知らないままスタートしため、あたたかさだけでは対応出来ないこともありました。」

 どのように解決しましたか?
 「その解消のひとつとして始めたのが「職員交流会」です。年に一度、各事業所の障がいのある職員が集まり、自ら頑張っている事を発表し交流します。内容はだんだん進化しています。」

障がい者の9割が発表 憧れの先輩や仲間ができる

 塚原さんが交流会を説明してくれました。
 「障がい者本人が『頑張っていること』をみんなの前で発表します。どうしても話すことが苦手な方もいるので強制はしませんが、9割以上の方が発表に臨みます。内容は『あいさつがんばってます』と簡単なものから、お母さんと作ったパネルを使用した本格的なカイゼン報告プレゼンまで幅広く、良い発表は若い障がい者にとって憧れの対象にもなっています。先ほどのプレゼンをした職員は、障がい者雇用第1号ということもあり、みんなの良い目標になってくれています。また、障がい者が一人しかいない事業所から来た方は、仲間がたくさんいると思えて嬉しいようで、アドレスを交換して連絡をとり、翌年また会って喜び合ったりしています。」

つながりが生まれる職員交流会

 他の職員は参加しないのですか?
 「各事業所で障がい者と関わっている職員も来てもらいます。職員同士で『こういう時どうすれば良いだろう』とお互いの悩みを話し合ったり、専門的な事はジョブコーチや支援機関にアドバイスを貰ったりしています。また、保護者も交流会にお呼びしています。特別支援学校を卒業するまでは、先生や保護者同士のつながりがありますが、社会に出るとバラバラになってしまい、お母さん達も不安そうだったので、保護者同士の相談の場としても活用してもらっています。」

 横のつながりが出来るのは良いですね。
 「昨年は、商品の勉強を中心にお楽しみも兼ねて、飾りずしを作りました。今年は美濃酪連さんの牛乳を使った計画を立てています。興味のある方はお問い合わせ下さい。」

 障がい者雇用推進のためには、トップの決断と現場の交流が重要なのでしょうか。

「利用するしか無い」 障害者就業・生活支援センター


職員交流会で最初に業務を発表する田中さん


勤務中の田中さん 素早く荷物を整理する


障がい者雇用について話す人事部の近藤部長(右)と塚原さん(左)


田中さんをはじめ障がい者が働きやすい環境が整えられ、それが他の職員の環境改善にもつながっている

障がい者、職員、保護者との交流会の現場を取材

 12月16日、「職員交流会」が開催されました。
 スタートは、障がいのある職員ひとりひとりを紹介するスライドショー。現場担当者からのメッセージには「いないと困ります」「大切な戦力です」などの文字が目立ちます。続いて、障がい者自ら前に立ち、日々の業務を報告します。和やかな雰囲気のなか、「外仕事する時の寒さ対策」といった改善提案や、「くまもんの、みんなの笑顔のために努力する姿勢が私の目標」など、個性的な発表が行われました。
 その後、現場担当者、保護者、専門家によるグループディスカッション、商品学習を兼ねたどら焼き作り等充実した内容。
 この職員交流会で、障がい者と他の職員、保護者、それぞれの距離が近づき、信頼感へと繋がっているようです。

新卒採用者は先生に 期中採用者は支援機関に相談

 交流会で最初に発表した田中さんの職場は集荷場。働きぶりはいかがですか?
 「それは真面目ですよ。休んだなんて聞いたことありません。」
 「現場からも助かったという声が多いですね。年配の定時職員さんが出庫作業している場合が多く、若い男の子が来ると、力仕事を頼みやすいようです。」

 雇用に苦労した点はありますか?
 「期中採用した年配の職員の中には、自分独自のやり方にこだわりを持ち、曲げない方もみえます。特別支援学校の新卒者なら先生に相談も出来るんですが…。先生の効果はすごいですよ。みなさん緊張して、しっかり話に耳を傾けます。」
 「でも期中採用だったり卒業から時間が経つと、いつまでも先生に頼る訳にはいかないので、障害者就業・生活支援センターさんの力を借りることになります。今も利用していますよ。」

企業が関われないような生活面まで踏み込んで対応

 障害者就業・生活支援センターを、利用するメリットは?
 「私も最近になって障害者就業・生活支援センターを知ったのですが、店長から何度指導しても聞いてもらえない職員について相談したところ、私達が関われないような生活面まで踏み込んで指導して下さいました。」
 「無料なので少し気が引けましたが、今では利用するしかないと思っています。これからは全員に登録してもらって、定期的に様子を見に来ていただこうと思います。問題があった時にアドバイスをいただければ、各事業所の負担を減らせますし、プロの目で長く見てもらえるので、とても助かります。」

マイナス面ばかり心配せず一歩踏み出して

 今後の目標を教えてください。
 「〈各事業所に一人〉の達成です。『できる仕事がない』という事業所もありますが、できないと思われている仕事の中にも、できる事がないか探していきたいです。ジョブコーチの制度も知らなかったのでお願いしたいです。」

 障がい者雇用を始める方へアドバイスは?
 近藤部長は「雇っていない企業は雇う前にマイナス面ばかり心配すると思いますが、そんなことはありませんよ。実習など一歩踏み出せば分かるはずです。」と言います。

 心配するばかりでなく、障害者就業・生活支援センターやジョブコーチなどの支援機関を積極的に利用しながら、一歩前へ踏み出す姿勢で障がい者雇用を始めてみてはいかがでしょうか?

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