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ヘルスキーパー制度の導入事例【アイシンウェルスマイル株式会社】

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■会社情報
アイシンウェルスマイル株式会社
愛知県知立市
従業員数93名(障がい者 60名、ジョブコーチ17名)

 
■スローガン
自分の手で 自分の未来を切りひらこう!

 
■ミッション
1.障がいのある方に働く機会 (喜び)を広げることで社会の発展に貢献します。
2.障がいのある方が社会的に自律・自立できるよう全力でサポートしていきます。
3.質の高いサービスを提供しアイシングループの価値向上に貢献します。

 
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「障がい特性と個性を活かした仕事の切り出しとヘルスキーパーからみる仕事のやりがい」
 
愛知県(知立市)にある「アイシンウェルスマイル株式会社」の本社にお伺いしてお話をお聞きいたしました。
アイシンウェルスマイル(株)は、自動車部品やエネルギー機器の製造・販売等を行う株式会社アイシンのグループ会社で、親会社の(株)アイシンをはじめとするアイシングループにより、障がいのある方の雇用機会の創出と拡大を目的として2019年に設立された特例子会社です。

設立の趣旨は、「1.個々の障がい特性に配慮した職場環境による雇用機会の創出・拡大」と「2.1で蓄積された経験やノウハウを活用したアイシングループへの指導・支援」です。

 

※アイシンウェルスマイルの事業内容や取組みをご説明いただいたオフィスサポート事業部 太田部長(左)とグループサポート事業部 西堀部長(右)
 

障がい者雇用業務におけるアイシンとアイシンウェルスマイルの関係

 
アイシンウェルスマイルには、オフィスサポート事業部とグループサポート事業部があり、特例子会社として障がい者雇用を推進するだけでなく、アイシングループ各社に対して、障がい者雇用におけるサポート(採用、雇用管理、教育など)を行うほか、特別支援学校や障害者就業・生活支援センターなど関係機関との情報交換や関係強化を図り、グループ内における障がい者雇用の先導役を担っています。

アイシンの事業に直接寄与する業務としては、「ものづくりサポート(電子部品リサイクル)」「職場の事務業務サポート(封入作業、梱包等)」「開発業務のサポート(AI技術開発のアノテーション等)」があります。

社屋で行う清掃作業では、丁寧に一つ一つ作業を進める障がい特性やチームワークを活かし、数名のチーム内で割り当てられた業務を協力して進めていきます。また、AIの精度向上につながる機械学習用の画像データをPCを使用して精査するアノテーションでは、膨大なデータが必要なため、高い集中力や手先の器用さを活かし、根気強く作業を行える方が業務を担っています。

 

チームで取組む「清掃業務」

AI技術開発の「アノテーション業務」

 

この様に、アイシンウェルスマイルでは、「障がい特性」や「個性」を様々な視点から見極め、社内にある業務とマッチングすることで業務拡大や雇用機会の創出をすすめています。また、働くことを通して喜びや楽しみを得ることも大切にしており、その考え方は、障がいのある社員のモチベーションを保ち、品質の向上につながっていることを感じました。

専門的な技術や高いコミュニケーション能力といった個性を活かし、アイシンウェルスマイルでは、「ヘルスキーパー」という職種も設けています。ここからはこの職種に焦点を当て、そこから見えてくる障がい者の「仕事のやりがい」について考えていきます。
 

ヘルスキーパーの野上さん

ヘルスキーパーの丹羽さん

マッサージルーム担当スタッフの岸さん

 
アイシンウェルスマイルのマッサージルームにお伺いして、ヘルスキーパーの野上さん、丹羽さん、そしてスタッフの岸さんからお話を伺いしました。

■まず、どうしてこのヘルスキーパーという職に就くことになったのでしょうか?

野上さん:元々アイシンの西尾ダイキャスト工場で勤務していましたが、網膜色素変性症によって視力が落ちていき、職場を離れることになりました。その後、29歳で盲学校に入学して「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格を取得し、こちらの職場に復帰してまいりました。

丹羽さん:私は、視覚狭窄のため33歳の時に前職を退職し、盲学校に入学して資格を取得。ご縁あってこちらの職場でお世話になることとなりました。
 

■入社後、どのように仕事を覚えていったのでしょうか?

野上さん:職場の先輩に教えてもらいながら、一から学んでいきました。マッサージの技能以外に、キーボードの操作や音声ツールの操作等、一つ一つを覚えていくのに必死でした。
 

■この施設の体制、稼働状況を教えてください?

野上さん:2つのベッド体制で、一日あたり10枠。7から8割程度の稼働です。それをヘルスキーパー3人で分担しています。

日中に利用できない方は、昼休みや定時後、年休等を利用してみえます。10:00 – 20:00まで利用可能で、16:00以降が予約は埋まりやすいですね。
 

■こちらはアイシンの社員が利用されるとお聞きしていますが、業務の中で感じていることがあれば教えてください?

野上さん:「いつもありがとうございます」という感謝の言葉をかけてもらえますし、社内のイベントに出展しても言葉をかけてもらえます。とても有難いです。
 

岸さん:イベントへの出展は、アイシングループへのヘルスキーパーの啓蒙活動的な狙いもあります。
 

丹羽さん:アイシンの「品質至上」という言葉のもと、マッサージにおいても品質にこだわったサービスを提供したいと心がけています。盲学校の同級生の中でもヘルスキーパーは、やりたい(人気の高い)職種でした。だからこそ、この職種で採用していただけたことは、有難い思いが強く、自分のマッサージ技術で陰ながら会社に貢献したい思い、仕事させてもらっています。
 

■仕事する中で、気をつけていることはありますでしょうか?

丹羽さん:大切にしているのは、稼働率です。会社に貢献するために利用者を増やしていきたいと考えています。そのために、マッサージの質も上げていかないといけません。
 

岸さん:コミュニケーションにおいて、同じグループの社員だからこそイントラネットから情報を取ることができ、共通の話のネタを持つことができます。社員のストレスをとるための会話ができるので、マッサージの施術以外の面でも重要な役割を担っていると思います。コミュニケーションは、満足度に通じますからね。利用者が同じアイシングループの社員というところは、接する彼らにとっても安心感があると感じます。
 

野上さん:ネガティブなコミュニケーションをとらないように心掛けています。相談しやすい環境づくりを大事にしていきたいですね。
 

■こちらの費用はいくらでしょうか?

野上さん:マッサージの利用、20分420円、40分840円です。
 

岸さん:社員の皆様の疲れを取り、パフォーマンス向上につながればと考えており、気軽にご利用頂けるよう市場よりもお値打ちな価格設定にしています。
 

■社内向けの施術ですが、お金を頂きサービスを提供するので緊張感はありますね?

丹羽さん:ヘルスキーパー3人で定期的に技術交流会をしています。学校では基本を教わりますが、それ以上のこと(お客様の満足度を上げるようなやり方、ノウハウ)は研修会、交流会で高め合う必要があります。また、マッサージの基準は、擦り合わせしているほか、マッサージスキルは外部研修を受けることもあります。マッサージのスキルが上がっていく面白さは、モチベーションに繋がっていますし、触るだけで、凝っている場所がわかるようになりたいですね。
 

■今後もヘルスキーパーを増やしていく計画はありますでしょうか?

岸さん:今のところ人員を増やす計画はありません。障がい者雇用数だけを考えると、ヘルスキーパーで多くの方を採用することは難しく、他に雇用を拡大する手段があるとは思います。
ただ、利用する社員へサービスを提供することで会社への貢献につながることや、障がいのある方々が「モチベーション高く、やりがいを持って働ける職種」として意義あるものだと感じています。
 

利用者とのコミュニケーションや品質を意識してマッサージを行う、野上さんと丹羽さん

 

今回お話を伺う中で、施術するお二人のモチベーションの高さや「職場愛」を感じました。そこには、お金を頂く尊さを理解した上で、仕事に対する責任感があり、日々仕事に向き合っているからこそ湧いてくるものだと思います。仕事である以上、厳しい場面にも出くわすこともあると思いますが、そこに向き合い努力して研鑽を積んでいく姿勢は、まさにアイシンウェルスマイルという会社が掲げる「自分の手で 自分の未来を切りひらこう!」のスローガンを体現していました。これからも高みを目指していただきたいと思います。